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フレームチェアの歩み

MARUNI60を代表するフレームチェアは、1960年代に製造、販売をしていた「No.79(みやじま)」と呼ばれる商品の復刻が軸になっています。時代を経て「フレームチェア」として復刻を遂げたこれまでをマルニ木工の歴史とあわせ、ご紹介いたします。

 

1928(昭和3) マルニ木工のはじまり
マルニ木工の前身である「昭和曲木工場」を1928年に設立。日本の家具工業の近代化がスタートしました。創業時の従業員はわずか18人。目指したのは職人による手仕事ではなく、「機械加工」「曲げ」「仕上」「塗装」「荷造」という分業による家具の工場生産でした。

初期の曲げ作業のようす
曲木椅子(銀行椅子)第一号

 

1933(昭和8) 「二つの輪」のロゴへ
昭和曲木工場は 当時ライバルであった沼田木工所と合併し、マルニ木工株式会社が誕生しました。 二つの輪がつながった当時の社章には、ライバル同士であった昭和曲木工場 と 沼田木工所が「手を握り合って、力強く前進していこう」という願いがこめられていました。 その社章が示す輪は「和」を意味し、メーカーであるマルニ木工と、お得意先様、お客様とのきずなを強め、その関係を大切にして行くことも意味しています。また、曲げ木加工を得意としていたため木を曲げて作る輪っかに由来するとも言われています。現在のマルニ60のロゴマークには、創業当時の熱い想いを胸に、いつまでもマルニらしく、新しいマルニを育ていく決意が込められています。

マルニ木工株式会社の ロゴ(1933)
MARUNI60 ロゴ

 

1950(昭和25) 再起と発展
戦後「自主生産」の本格化を目指し、新しい日本に送り出す家具として38号「新生椅子」が誕生しました。新生椅子は現在のMARUNI60シリーズで販売されているデルタチェアの原型となる椅子です。当時の狭い住宅事情と畳みの生活に合わせたコンパクトな家具がとてもマッチした時代は、長く愛され続ける家具がたくさん誕生しました。

38号新生椅子と210号応接セット(1950)
38号新生椅子(1950)

 

1960(昭和35) No.79の誕生
戦後に落ち込んだ日本経済が、回復から成長へと変わりつつあった1960 年に、現在のオークフレームチェアの原型となる No.79 が発売されました。当時の日本では珍しいノックダウン式のアームチェアは、収納、持ち運びの容易さとセパレート型の機能性を合わせ持ちながら、快適な座り心地を実現した商品として人気を博しました。洋式化の途上にある日本のせまい住空間にも調和する商品だったといえます。


1970(昭和45) “No.79” から “みやじま”の愛称へ
発売後、たちまち人気商品となったNo.79は、1970年に「みやじま」という愛称に代わりました。肘から脚にかけてのパーツが鳥居に見えることから広島県宮島の厳島神社になぞらえて「みやじま」となったといいます。

 

1977年(昭和52年) “みやじま” の廃番
1960年の発売以来、多くの人々に愛され、長年にわたって親しまれてきた「みやじま」ですが、時代の流れとともに惜しまれつつも、1977年に廃番となりました。

 

2006年(平成18年) “オークフレームチェア” として復刻
1977年の廃番から約30年後、新ブランド“マルニ60” を立ち上げ、その第一弾に“オークフレームチェア” として復刻をしました。
デザインやノックダウンはそのままに、座面の内部構造に改良を加え座り心地をより高めながら、置クッションは当時の定番色の他にモダンなテキスタイルを選定。当時のままの普遍的なデザインを活かしつつ、現代生活に向けての提案を行いました。

今ではフレームチェアにハイバックやワイドなど様々なバリエーションが加わり、より自由な組み合わせをお楽しみいただけます。

環境に配慮した木材へ
「No.79(みやじま)」で使用していた木材はオーク材ではなくソロモンマホガニー(タウン) 材でした。ソロモンマホガニーはニューギニアからソロモン諸島、インドネシアなど熱帯地域に広く分布している樹木で高さ30~40m、直径70~80cm にもなる広葉樹です。材は淡くピンクがかった褐色で、南洋材としては比較的きめが細かくなめらかで艶があります。家具に使う国内のブナの入手が難しくなった昭和30年代から、業界に先駆けて家具用材として海外から採用した木材でした。ソロモンマホガニーは当時のマルニ木工の主力材でしたが、その後、熱帯雨林の保護のため取り扱うことを止めました。

復刻にあたって採用されたオーク材はアメリカ広葉樹輸出協会AHEC による管理の元、計画伐採された木材です。30 年という歳月の中で大きく変化した自然環境に対応すること、また森林を守ることは木材を扱う家具メーカーとしての使命です。

  • ソロモンマホガニー
  • オーク

よりよい座り心地への工夫

1960年発売時から変わらぬ背と座に独立したクッションは、初期のNo.79ではウレタンフォームのみの仕様でした。その後、羽毛へ変わり、現在のフレームチェアでは羽毛とウレタンフォームの積層構造となりました。
背クッションは羽毛と人工綿で羽毛の柔らかさを最大限に感じることができ、座クッションは羽毛の柔らかさを保ちながらもウレタンフォームを重ね合わすことで長く座ってもへたりにくく、座った時の底突き感を感じさせないように工夫を施しています。

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